2002年5月発行 No.59
原爆被爆者の健康調査等で実績のある阪南中央病院(大阪府松原市)の
JCO臨界事故『健康実態・被曝線量調査報告書』
によれば
- 調査対象はJCO転換試験棟からおおむね500m以内におられた方で、2000年
7月から2001年2月に個別面談聞き取り方式で行われた
- 有効回答数208名の内30%以上の方に事故後1ヶ月以内に全身倦怠、
のどの痛み、脱力感、頭痛、下痢等の症状が現れており、
調査時点(事故後7ヶ月から1年半)では、47.1%の方が風邪を引きやすくなった、咳・痰、
眼疲労、肩こり・首痛み等の不調を訴えているという
- どちらの場合も『被曝線量が高くなればなるほど自覚症状を訴える
人の比率が高くなっている』
- 『科技庁は一般住民の被曝の最高は21mSvでJCO職員や事故処理作業者を含めても50mSvを超える被曝はなかった』『50mSv
以下の被曝では健康上の影響は一切出ない』としているが、
今回の調査では50mSv(原発労働者の1年間の被曝線量限度)を超える方は5人、1mSv(一般人
の1年間の限度)を超える方は62人に達した。
総合的にみると科技庁の線量評価はこの調査と比べて6分の1の過小評価になって
いるという
- 原因は科技庁が『被曝線量が低くなるような計算式を使っている』また
『中性子線の「危険度」を不当に小さく(半分)評価しているため(ICRPのの勧告
を採用せず)』等である
- 科技庁の調査は『同一行動なのに2人の線量が違う』
等60%の方が信用できないとしている
頭ごなしに健康上影響がないとか不信を抱かせる調査結果を通知したりするようでは住民
の方々の不安をぬぐうことはできない。国は被害の究明
に真摯に取り組む勇気を持ってほしい
【2002年4月伏屋】